kufsnkkの日記

NKKメンバーがお届けする、日本語教師の日々をつづったブログです。

【連載】第17回 日本で日本語教師 木尾一智さん

人気連載、日本語教師の記事です。今回は大阪観光大学日本語別科で専任教員をしている木尾一智さんです。

では、よろしくお願い致します。

 

はじめまして。木尾 一智(きお かずのり)と申します。僕は2007年に京都外国語大学大学院に入学し、途中2年間休学期間を経て2011年に修了しました。

 

まずは、僕のこれまでについてですが、僕が日本語教師を志すようになったのは高校3年になる前の春でした。もともと教師志望だったのですが、進学先を考えていたときに海外でも活躍できる日本語教師という仕事を知り、海外に目を向けるようになりました。そして、天理大学に進学し副専攻日本語教員養成課程にて日本語教育を学びました。幸いなことに大学を卒業する少し前から大阪市内にある文林学院という日本語学校でお世話になることになり、非常勤講師ではありますが、卒業後から本格的に日本語教師として歩み始めました。

 

その後、文林学院での経験が基となり、もっと日本語教師としての質を高めたい、視野を広げたいと思うようになり、2007年、京都外国語大学大学院の門を叩きました。院生時代には院生同士の勉強会の開催や合宿、研究集会での発表や投稿、ACTFL-OPI試験官養成ワークショップなどいろんなことにトライすることができました。そのトライしてきたことが、今でも現場での活力になっています。

また、同じ時期に学んでいた方々に恵まれ、いろんな方のバックグラウンドのお話や海外での話などを聞くこともできました。そして何より、同期の方々には公私ともに本当にお世話になり、僕の人生の中で一生忘れることのできない時間となりました。

 

さて、僕がこれまで主に勤めてきた学校は、文林学院(大阪)、J国際学院(大阪)、関西外語専門学校留学生センター(大阪)、明日香日本語学校(大分)など数校の日本語学校立命館アジア太平洋大学言語教育センター(大分)、京都産業大学(京都)などの大学にて勤めてきました。現在は大阪観光大学日本語別科(大阪府泉南郡)に勤めています。以前勤めていた日本語学校で同僚だった先生から声を掛けてもらったことがきっかけで、2018年3月から専任教員として勤め始め、現在は主任として現場での指導にあたっています。

 

昨年度は初級クラスと中級クラスの担任としてクラスを受け持ち、今年度は中級クラスを担当しています。大学の日本語別科ではありますが、国内の日本語学校と同じような運営形態を取っており、その業務内容は主に日本語指導はもちろん、カリキュラム作成、担任クラスの運営、学生面談、進学指導、生活指導、非常勤の先生方のサポートなどが中心となります。また、申請書類提出時期になると申請業務の簡単な手伝い、学生の入国の時期には空港まで迎えに行ったり、市役所や銀行に連れて行ったり、寮へ生活用品を搬入したりすることもあります。学生が病気やけがをした際は病院へ付き添うこともしばしばあります。さらに、式や校外学習などの行事の企画運営、大学ですのでオープンキャンパスなど大学自体の業務もこなします。

 

ここまで業務が多岐にわたると驚かれるかもしれません。しかしながら、こうした日本語を教えることだけではない様々な業務をこなすことで学生が入国する段階から卒業まで一貫してその様子をみることができ、学生とのかかわり方が変わり、延いては日本語指導の在り方も変わってくるような気がします。

 

非常勤講師だった頃はひたすら授業のことを考え、どうすればうまく教えられるのか、どうすれば学生に響く授業ができるようになるのかと、そうしたことに時間を割いてきました。しかし、実際に学生とかかわっている時間は週に数日、ほんの90分や3時間程度です。学生のことを何も知らないんじゃないかと思うようになりました。もちろん、授業中や休憩中などにも学生とのコミュニケーションは欠かさず行っていました。では、この学生たちはどういう経緯で日本へ来て、どんなところで生活して、どんな思いを持って卒業し新たな環境へチャレンジしていくのか。そんなことを考えていると、やはり非常勤講師ではそこまで学生のことを見ることができないと感じ、専任講師として授業以外の部分でも学生とかかわってこの仕事に携わりたいと思うようになりました。

先ほどもお話したように、業務は多岐にわたりますがその分学生とのかかわりはより増えて、その中でいろんな学生の表情をみることができます。僕は学生とのいろんな場面を思い返し、そのときにあった学生とのことを導入にしたり、練習の際の場面設定にしたりすることも多くあるので、学生とかかわった分授業のアプローチの仕方、指導の在り方が変わってくるのではないかと感じています。こうしたことも日本語教師という仕事の醍醐味、楽しみの一つなのではないかと思います。

 

 学生とかかわり、学生をみることから教育は始まると思います。教える学校、教育機関、国など環境によって、みえる風景も違ってくるかと思いますが、ただただ日本語を教えることだけではなく、日本語を通して学生たちに何を伝えたいのか。日本語教育を行う日本語教師としての必要なものの一つではないかと思っています。

 

 

大阪観光大学日本語別科の学生たちの写真です。f:id:kufsnkk:20190613025846j:plain

休憩中の教室で



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学園祭の出し物の様子


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昨年9月の修了生

 

 

 

たくさんの業務をこなしながらも、授業や学生に対して真摯に向き合っている木尾さん。簡単なことではないですが、学生一人一人と向き合い信頼関係を構築するこが重要なのだと再認識しました。木尾さんありがとうございました!