【連載】第7回「海外で日本語教師」アメリカ~ACTFL編part3~
ユタ州立大学、冬休み中の広報の友野です。
先日は久しぶりに母校、京都外国語大学へ帰ってきました。図書館で必要な論文がすぐ手に入ることに感激しました。自分の読みたい論文がすぐ近くにあって、(タダで)すぐに読めるってすごくありがたいことですね(学部生の頃は気が付いていませんでしたが)。ぜひ活用しましょう。
さて、ACTFLの報告3回目。まだ書くことがいっぱい。
ACTFLには色々な外国語の学会が参加しているということはpart1でお話しましたね。今日は、AATJ、全米の日本語教師会の総会について。
日本の日本語教育学会でも初日に全体の総会が開かれ収支報告や会員数の変化が報告されますね。AATJの総会は大ホールで一日の発表が終わった後、開かれました。
写真は会員数についての報告がされている様子です。
そして、総会で一般に報告されることが済んでから、1つの、会員が共有しておくべきテーマについてセミナーが開かれます。
今回は、アメリカの日本語教育の現場で使われている評価ツールについて。
3つ、挙げられました。そしてその3つの試験についてそれぞれの専門家が説明とコメントをします。
お馴染みJLPT。世界に試験会場を持ち、日本での大学入学や就職の際の日本語能力の基準とされる試験ですね。
長所:日本での進学、就職で基準となる。過去問題も多い。
短所:試験会場が増えてはいるものの少ない。試験代が高い。
②AP
Advanced Placement の略。アメリカの高校生が対象となり、成績上位者は大学進学時に単位として認められることが多い。
長所:アメリカの大学で一番使われている。
短所:難しい(らしい・・・すみません、勉強不足です)。初級の学生向けではない。
③NJE
National Japanese Examの略。中学校、高校、大学生が対象。
長所:安い(教師が会員なら学生は8ドル!)。どこの学校でも試験が受けられる。
短所:過去問題が公開されていない。日本での認知度が低い。
簡単に、雑に書きましたが、この3つ、どれが一番いい!と言うことでは全くありません。日本人や日本文化に接する機会が少ないアメリカで、この3つを上手く使い分けて学生にもやる気を出してもらい、先生達もクラスの指導に生かしましょうということでした。
私のいるユタ州立大学で考えてみると、②のAPを使って来るような学生は少ないので、関係があるのは①と③。ただ、JLPTはユタ州では会場がありません。どうしても受けたい学生は、運転(10時間くらい?)か、飛行機で会場まで行くことになります。試験代はもちろんですが、交通費、ホテル代もと考えると、毎日アルバイトをしている学生が多いので「さあ、みんなで受けよう」とは言いづらい。どうしても日本で就職したい、という学生にはすすめます。
そうなると気になるは③NJE。初級から受けられて、格安。そしてパソコンがみんなで使える環境があれば教員が試験監督となり自分の学校で受けることができます。学生にとって嬉しいのは、賞があることかな。各級で、成績順に金銀銅の賞がもらえるそうです。そして、普段は狭いクラスで日本語を勉強していますが、NJEを受けることで、アメリカ全土で自分がどのくらいの日本語のレベルにあるのかがわかる。これは、教えている私もドキドキしますが、気になります。
そこで、年明けに学生にNJEの受験を呼びかけてみようと思っています。
今回はアメリカの日本語試験事情について、でした。学会に行って、座っていただけですが色々と知らないことを知ることができました。学会は大事!
「そうだ学会、行こう!」