【連載】海外で日本語教師 第2回 安立友野さん(アメリカ)
連載「海外で日本語教師」
第2回目はアメリカ。NKK広報の安立友野(あだちともの)さんです。
久しぶりのアメリカ教師日記。広報(おろそかになっていますが)の友野です。
教師日記というのは大概、やりがいをまず書くものですがあえての苦労話です。
ハロウィンが二日後に迫り、授業も秋学期の後期。残り1ヶ月と1週間。
開始1ヶ月半は忙しい以外に大した問題もなかったので、それこそ珍しいことだったのですが、出てきましたよ、ちゃんと。
①主張する
アメリカだなということを実感する問題です。
よくあるのがこういう相談。
「明日のクイズを、来週受けさせてほしい。明日は他のクラスのテストがあって、そのための勉強をしたいんです。」
・・・??
英語で言われたから??なのではありません。色々不思議な点がありますね。
1.なぜ、クイズの前日に言うのか →直前まで勉強しなかったから
2.他のクラスのテストがあるのは1人だけではないのでは →みんなある
3.テストの時間が授業にぶつかっているわけではない →そんなこと滅多にない
4.そもそもテストはそんな急に決まったことなのか →そんなことない
しっかり理由を述べているつもりでしょうが、勿論答えは「ダメです--;」
全員が全員ではありませんが、こんな話は毎週あります。
日本語を取ろうと決めた自分に責任があるとは思わないのかな?と思いますが、この「私は大変なんだ理論」はよく聞きます。拒否しても特に何か言われることはないので、とりあえず主張してみようということなのかなと思っています。
②権力重視
私はようやくそろそろ31歳。大学で教えているTA以外では若い方。そして非常勤。
何か問題があった時に、私ではなく長く教えている専任の先生に話が行きます。
授業内の話から、教室の使い方、、、まずその場にいる人に言うのが早いのでは、と思いますが、違うらしい。
これは色々な意味で落ち込みます。
英語能力が低いから?とか、クラスの運営能力がないと思われているの?とか。それともそもそも上から私に何か注意を与えることを期待されているのかな、とか。
表面的には会うとにこやかに挨拶をし、学生の場合は普通に授業を受けて話して帰るので、いつそんなことを思っているのか、内心何を考えているのかということを不安に思うと人間不信になりそうですね。
幸い専任の先生は留学時代の時からお世話になっている方なので相談もできますし弁解もできるので落ち込むより数日モヤモヤするくらいで済んでいます。
③責任
一番の問題につながりますが、責任というものを感じていないのではと思います。
月曜から金曜日まで毎日授業があり、しかも言語の授業ということで1回、2回来なかっただけでもすっぽり基礎が欠けてしまうことはわかっているはず(わかっていないのかも)なのに事前連絡なく休む人が多いです。これはすべての授業に共通する問題だと思います。
理由なく休み、出てきて宿題を知らないと言ったり、休んだから宿題を今日出していいかと聞いたり。グループワークをするから休まないように全員にメールを送ったにも関わらず連絡なく数名が休む。グループの他のメンバーがその影響を受けることを考えたら申し訳なくならないのかな、と思いますが、あまり思わないそうです・・・
授業の最初に「こんなことまで大学のシラバスに書くの??」と思いながらシラバスを書きましたが、それが必要なのだと痛感しています。
『休んだら休んだ分の宿題や内容の理解は自分でなんとかすること。』
『遅れた宿題は減点、または受け取らない。』
書かないと、休んだからいなかった分教えて!という理屈が通用してしまうのかと思うと恐ろしいです。
そんなわけで、日本語の授業なのに基本的な授業態度の指導も兼ねている気がしてきました。
・授業だし人と話す授業だからガムは失礼(汚い)
・前の椅子に靴を載せない(だって、汚い)
・宿題はやってあげるものではなく見てもらうもの(プレゼントです)
・宿題、クイズ、テストは見てあげるのだから丁寧に書くこと(見てもらいたいならきれいに)
などなど
大きい問題だけあげましたが、専任の先生のおかげと、自分の性格と、過去の経験のおかげで「まったくもう」くらいの心境です。
先生と性格に関しては自分で選べないので、教訓としては色々な場所で色々な人に教えることでしょうか。
さて、次はどんな問題が来るのかな。
まだまだ平気です。
友野さんの頑張りはNKK運営メンバーの原動力にもなっています!
次回の更新も楽しみにしています^^