【連載】第22回 日本で日本語教師 伊藤美保さん
お久しぶりに連載のお届けです。
今回ご紹介する伊藤美保さんは、外国語学部英米語学科卒業され、現在は、愛知県にある藤田医科大学 保健衛生学部 看護学科で日本語を教えていらっしゃいます。
外大では、日本語学科だけではなく、他学科から日本語教師になった方も大勢いらっしゃいます。色々な形がある日本語教師。そんな先輩の貴重なお話です。
こんにちは。伊藤美保と申します。京都外大には、伊丹から阪急電車で通っていました。大学を卒業するときは、就職が決まっておらず、日本語教育で社会の役に立ちたいという思いだけがありました。建学の精神、「PAX MUNDI PER LINGUAS」です。
これが、1982年のこと。当時まだ日本語学科はなかったんです。日本語教育課程を持つ大学院もほとんどなく、1年後に国際基督教大学の研究生となりました。
2022年現在、藤田医科大学(看護学科)愛知県のキャンパスでこのブログを書いています。2年前、学部留学生の受け入れに伴い、初めて日本語教員1名の採用となったそうです。
◇日々の授業◇
・学部留学生向け日本語
・大学院留学生向け日本語
医療系修士・博士課程(タイ、ベトナム、フィリピン、中国、ドイツ)
・基礎ゼミ
看護学科1年生 初年次教育 グループワーク
・アセンブリ教育
看護学科3年生+医学部、プラス他大学の薬学部、歯学部など
多職種連携のグループワーク
このような仕事に巡り合ったのは、EPA看護師の日本語教育に関わったことがきっかけです。AOTS(海外技術者研修協会)でインドネシア、フィリピンからのEPA日本語研修に携わりました。(EPA:経済連携協定)
看護師の方が日本語研修を終えて、病院へ赴任されて行ったあと、どのように働いていらっしゃるのだろう?と考えるようになりました。そして、南山大学大学院の教育ファシリテーション専攻の社会人学生となりました。
その後、2019年日本語教育学会の中堅研修に参加し、その活動を共同学習の小さな勉強会で話したところ、参加されていた看護教員の方が、日本語の先生を探していると声をかけてくださいました。
興味関心を持っていることを熱心に語り続けると、こんなこともあるんですね。数年仕事ができないこともありましたが、巡りめぐって本当にやりたい職場環境にいることが不思議です。
これから日本語教育に関わる方には、ご自分のやりたいこと、日本語教師の専門性を周りの方に語り続けてほしいと思います。日本語教師の仕事も多様化が加速していますから、社会の変化を見極めて日本語教育でご活躍されることを願っています。
主な使用教材: 「いろどり生活の日本語」、 NHK NWES WEB(EASY)
「話す・書くにつながる 日本語読解」、「中級から上級への日本語」、
「場面から学ぶ看護の日本語」、 「医療にかかわる人のための漢字ワークブック」
伊藤さんの「ご自分のやりたいこと、日本語教師の専門性を周りの方に語り続けてほしい」というお言葉、とても印象的でした。短期的ではなく、長期的に自分の進路や日本語教師の仕事を考えていくべきですね。
伊藤さん、貴重なお話ありがとうございました。